http://tanaka.sakura.ad.jp さくらインターネット創業日記: 2007年11月アーカイブ

2007年11月アーカイブ

本日、通期業績の下方修正を発表致しました。本当に申し訳ありません。
謝罪のしようもないくらいのことであると思っております。

主な要因は、6月よりタイトル(ロード・オブ・ザ・リングスオンライン)の追加を行った、オンラインゲーム事業の成績が目標数値に達しなかったことによるものです。資産の減損4億円弱や関連する子会社の株式の評価損、および収益のマイナスが、中間期の決算において計上される結果となっております。
本来、オンラインゲーム事業では、上半期(4月から9月の6ヶ月間)に2億8千万円弱の売上を見込んでおりましたが、結果としては4千万弱の売上という、約2億4千万円の大幅な乖離が発生しており、これ以上続けることによって、好調な本業を立ち直れないものにしてしまう可能性があるとの判断から、今後発生しうる損失を全て先に計上すると言う、苦渋の決断へと至っております。
当然のことながら、不調のためにオンラインゲーム事業の原価はいくぶん抑えられたものの、先ほどのような大きな売上の未達成に対して吸収は全くできない状況にありました。

これらのことについて、知らなかったなどと言える立場にあるわけも無く、またオンラインゲーム以外において、私がかかわっていた投資に関する損失も含まれ、大きな責任を感じており、それ相応の対応をとるつもりであります。
今話せないことも多いですが、来週の決算発表以降には、私もIRでも情報を逐一お伝えしてまいります。

なお、上記のことがありながらも、上半期については本業たるデータセンター事業において予想を大きく上回る収益を上げることができ、結果としてオンラインゲームにおける大きな原価については本業の収益で吸収され、さくらインターネット自体の経常利益は予想より若干ではありますが上回る予定です。
当社の場合は、収益性の比較的低いコロケーションサービス(ラック貸し)よりも、収益性の高いインターネット回線やホスティング事業の売上比率が高く、競争環境の厳しい中においても、他のデータセンターに比べて収益性の高さに強みを持っております。これは来年以降に始まるであろう、データセンター乱立の環境においても生かされてまいります。
その中で、せっかくのこの強みが、副業によって毀損され続けた状況を放置したことは深く反省し、今回の決断の先には他のデータセンターとは一線を画した、より付加価値の高いサービスを提供できるよう、本業回帰の精神の元でまい進してまいります。

オンラインゲーム等における損失については、会計上の損失処理であり、今後に大幅な支出等は予定されておらず、且つ債務超過については近日中に解消見込みで、当社の本業における事業継続性については、全く問題ありません。
もちろん、本業における高品質、高コストパフォーマンスに影響が出るような状況は絶対に避けるべく、従前どおり、回線の増強、サポートチャネルの拡充、サーバ品質の向上など、資源を投入していきます。
現在、レンタルサーバにおけるデータベース品質の更なる向上や、503エラーへの対処であるなど、お客様のアンケートを元に課題をピックアップして取り組みを始めており、専用サーバなどのサービスについても、長期間ご利用のお客様へのインセンティブの考案などを進めておりますが、これらの推進について全く手を緩める予定はありません。

当社のサービスは、他社に比べても大きくお客様によって支えられていることは、疑うべくもありません。
そのような中で、今回のようなことを続けてきたことは、裏切りに他なりません。繰り返しになりますが、本当に申し訳なく思います。
私が1996年12月にさくらインターネットを創業してからもうすぐちょうど11年。社員と共に試行錯誤を経ながら、まだまだ足りないながらも少しは価値のあるインターネットサービスが提供できるようになったと思っています。それと同時に、お客様が、「お金を払う人という立場」だけではなく、さくらインターネットのビジネスモデルを成り立たせる必要不可欠な存在であると言うことを、痛いくらいに理解してきました。
その上で、今まで以上に価値を向上し、少しでも満足いただけるインターネットサービス提供していきたい気持ちに偽りはありません。

一部の事業を譲渡しながらずうずうしい話ではあります。
しかし、ここから先の第三者割当増資にせよ、本業外事業の整理にせよ、お客様の存在を無視するような行為は絶対にいたしません。また、当社を信じて投資を頂いた株主の皆様や、今のさくらインターネットを作り上げてきてくれた従業員の皆様に対しても同様です。
このような状況では在りますが、本業の継続性に全くの問題は無いこと、従前以上に改善を続けていくことに信頼頂き、これからもご愛顧を頂きましたら幸いです。


以上、今回は本当に申し訳ありませんでした。
お客様や株主の皆様、また経営陣を信頼してついてきてくれた社員の皆様、さらに当社のゲーム事業に夢を持ち来ていただいた社員の皆様に、深くお詫びいたします。

自己紹介

本名:田中邦裕/1978年生まれ
1996年にさくらインターネットを創業しホスティングサービスを開始。 98年に有限会社インフォレスト(2000年に解散)設立後、翌年にさくらインターネット株式会社を設立して社長に就任。
05年に東証マザーズに上場
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