本日、さくらのVPSからさくらのクラウドへのマイグレーション機能をベータ版として提供開始しました。
 
今回の機能追加により、コントロールパネルのアーカイブ作成画面で、さくらのクラウドと同一の会員IDでご契約中のさくらのVPSのディスクがソースとして選択できるようになりました。これにより作成したアーカイブをソースとしてディスクを作成し、さくらのVPSで使用していたディスクイメージをそのままに、さくらのクラウド上で使用することが可能となります。

提供価格

さくらのVPSからコピーしたデータは一旦アーカイブとして保存するため、「アーカイブ」機能の利用料金が必要となります(さくらのVPSからのコピーそのものは無料です)。保存に必要なアーカイブ容量はコピー元となるさくらのVPS利用プランにより異なります。

ベータ提供期間の制約について

さくらのVPSからのコピーに関わる機材や通信回線の能力評価のため、当初はベータ版として提供させていただくこととなりました。多くのお客様よりご利用いただいてる場合はコピー完了時間が長時間に及ぶ可能性がありますのでご了承ください。
 
なお、ベータ期間は1か月程度を見込んでおり、利用状況により適宜設備の増強を行った上で正式公開をお知らせする予定です。

「さくらのVPS」ディスクをソースとしたアーカイブの作成手順

最初に、コピー元としたいさくらのVPS契約の会員IDと同じ会員IDでさくらのクラウドのコントロールパネルにログインします。コピー元としたいさくらのVPS契約の会員IDとコントロールパネルへのログイン時に使用する会員IDが異なる場合はコピーすることができませんのでご注意ください。また、現在さくらのクラウドに契約のないお客様はこちらの電話認証より開始手続きを行ってください。
 
ログイン後、画面の上のメニューより「ストレージ」、左側のメニューより「アーカイブ」を選択し、「アーカイブ一覧」画面を表示します。この画面右上の「追加」ボタンをクリックし、さくらのVPSディスクからのアーカイブ追加を開始します。

cp1a
 
アーカイブ追加画面では、アーカイブソースとして「VPSディスク」のボタンをクリックします。「VPSディスク」が選択状態になると、下のポップアップメニューが「VPS選択」となり、コントロールパネルにログイン中の会員IDで契約されたさくらのVPSのディスク一覧が表示されます。ここでコピーしたいディスクを選択します(ご利用中のプランにより、1台のサーバにつき複数台のディスクが表示される場合があります)。

cp2a
 
必要に応じて名前や説明欄を入力後、右上の「作成」をクリックし、さくらのVPSからのディスクコピーを開始します(多数のユーザがコピー実行中の場合などは混雑中は順番待ちの人数が表示され、完了までに時間がかかる場合があります)。

cp3a
 
コピーが完了すると、アーカイブ一覧に今回作成したアーカイブが表示されます。

cp4a
 
アーカイブの作成完了後は、アーカイブからディスクを作成して既存のサーバに接続したり、サーバ作成時にアーカイブからディスクを作成することが可能です。

cp5a

注意事項

■ さくらのVPSでご利用中のIPアドレスと同一のIPアドレスをさくらのクラウドで使用することはできません。
■ さくらのVPSでは、プランや提供開始世代によりパーティション管理にGPTを使用しています(サービス名に”v3″を含むものが該当します)が、この場合ディスク修正機能は使用できません。
■ virtio非対応OSでは、ディスク接続方式にvirtioを選択して起動するとカーネルパニックとなります。この場合は接続方式をIDEに設定してください。
■ CentOS5.9などの一部OSでは、ディスク修正を行わずに起動すると15分程度応答が無くなる場合があります。ディスク修正を実行する、もしくはあらかじめシングルユーザモードで各インタフェースのIPアドレスを変更することで回避されます。

 

本日、新機能「スタティックルーティング機能」をリリースしましたのでお知らせします。
 
これまでグローバルIPアドレスブロック利用時は「スイッチ+ルータ」機能に付属のルータによるルーティングが必須でしたが、スタティックルーティング機能を利用することにより、IPアドレスブロックのスタティックルートを任意のサーバに設定することが可能となりました。これにより、

  • 複数枚のNICを割り当てたLinuxルータにスタティックルートを設定し、配下のサーバにグローバルIPアドレスを割り当てる。
  • 1台のWebサーバに複数のグローバルIPアドレスを割り当て、IPアドレスベースのバーチャルホスト環境を構築し複数のSSLサイトを運用する。
  • ソフトウェアルータVyattaのファイアウォール機能やVPN機能を活用し、グローバルIPアドレスを割り当てるDMZを加えたネットワークを構築する。

など、より柔軟なネットワーク構成が可能となります。

■提供価格

割当IPアドレス個数ごとに以下の料金となります。
 

プリフィックス(割当IPアドレス個数) 月額税込料金(※)
/28(16IP) 3,360円
/27(32IP) 6,720円
/26(64IP) 13,440円
/25(128IP) 26,880円
/24(256IP) 53,760円

※本機能は末日締めの1か月単位の課金となり、1日単位の日割計算はされません

■コントロールパネルからの利用手順

1. ルータ+スイッチの作成

スタティックルーティング機能を使用するには「ルータ+スイッチ」が必要となります。これまでと同様の手順でルータ+スイッチを作成し、スイッチ配下にスタティックルートを割り当てるサーバ(※)を追加します。
すでに作成済みのルータ+スイッチがあれば、こちらにスタティックルーティング機能を利用して割り当てるIPアドレスブロックを追加することも可能です。
 
※アプライアンス「ロードバランサ」機能へのスタティックルート設定は近日対応予定です

2. スタティックルーティングするIPアドレスブロックを追加

スイッチの「IPアドレス」タブを開くと、右下に「スタティックルート追加」ボタンが表示されます。

sw-ipaddr_2

 

「スタティックルート追加」ボタンをクリックすると、新たにスタティックルートで割り当てるIPアドレスブロックを指定するダイアログボックスが表示されます。

static-route-add-dialog

 

「プリフィックス」で必要な範囲のIPアドレスブロックを選択し、ネクストホップに「ルータ+スイッチ」配下に接続したサーバを指定し「追加」ボタンをクリックします。追加が完了すると先ほどのIPアドレス画面上部に新たなIPアドレスブロックのボタンが表示されます。

sw-ipaddr-static-route-added_2

※スタティックルーティング機能で追加可能なIPアドレスブロックは、ルータ+スイッチ1個につき4ブロックまでとなります

 

追加したIPアドレスブロックのボタンをクリックすると、「ルータ+スイッチ」のIPアドレス一覧画面と同様の画面が表示されます。リスト上部には、IPアドレスブロックのネットワークアドレスとプリフィックス、ネクストホップに設定されているIPアドレスが表示されます。

sw-ipaddr-static-route-added2_2

3. IPアドレスの逆引き登録

「ルータ+スイッチ」と同様、追加したIPアドレスブロックのIPアドレスに逆引き登録ができます。
IPアドレスリスト右側の鉛筆アイコンをクリックするとダイアログボックスが表示されるので、入力フォームに逆引き登録したいホスト名を入力し「更新」ボタンをクリックします。

hostname-rev_

※正引き設定されていない場合は逆引き登録ができません

4. ネクストホップの変更

追加したIPアドレスブロックのIPアドレス一覧画面右下の「ネクストホップ変更」ボタンをクリックすることで、ネクストホップを他のIPアドレスへ変更することができます。

nexthop-renew_

ポップアップメニューより変更したいIPアドレスを選択し、「変更」ボタンをクリックすることで変更が完了します。

5. スタティックルーティング用IPアドレスブロックの削除

削除したいIPアドレスブロックのIPアドレス一覧画面を表示し、右下の「削除」ボタンをクリックしてください。
削除したIPアドレスブロックを割り当てたサーバは外部ネットワークから接続ができなくなるのでご注意ください。

■サーバ側の設定

ここでは、いくつかの一般的な構成例での設定方法を簡単にご紹介します。設定例として使用するネットワークは以下の通りとします。

ルータ+スイッチ IPアドレスブロック 198.51.100.0/24
ルータ+スイッチ ゲートウェイ 198.51.100.1
スタティックルーティング IPアドレスブロック 203.0.113.0/24
スタティックルーティング ネクストホップ 198.51.100.2

1. CentOS6.4サーバをルータにする

CentOS6.4サーバをルータにして、配下にWebサーバとDNSサーバを接続する構成とします。ネットワーク図は以下の通りです。

centos-router2_2

 

この構成で必要なものは以下の通りです。

・ルータ+スイッチ 1個
・ルータ用CentOSサーバ 1台
・CentOSサーバ用追加NIC 1枚
・スタティックルーティング用IPアドレスブロック 1個
・Webサーバ, DNSサーバ 各1台

それぞれを作成し、ネットワーク構成図のとおりNICとスイッチを接続します。

CentOSルータのネットワーク設定

●eth0インタフェース(IPアドレス:198.51.100.2)の設定

 

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0を以下のように編集します。


DEVICE=eth0
BOOTPROTO=static
ONBOOT=yes
TYPE="Ethernet"
NETMASK=255.255.255.0
GATEWAY=198.51.100.1
IPADDR=198.51.100.2

 

●eth1インタフェース(IPアドレス:203.0.113.1)

 

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth1を以下のように編集します。


DEVICE=eth1
BOOTPROTO=static
ONBOOT=yes
TYPE="Ethernet"
NETMASK=255.255.255.0
IPADDR=203.0.113.1

 

●NIC間IPパケット通過を有効化

 

2個のNIC間でIPパケットが通過するように設定します。


# sysctl -w net.ipv4.ip_forward=1

 

また、再起動後にも設定されるように/etc/sysctl.confのnet.ipv4.ip_forward行を以下の通り変更します


net.ipv4.ip_forward = 1

Webサーバ・DNSサーバのネットワーク設定

●eth0インタフェース(IPアドレス:203.0.113.2)

 

Webサーバの/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0を以下のように編集します。


DEVICE=eth0
BOOTPROTO=static
ONBOOT=yes
TYPE="Ethernet"
NETMASK=255.255.255.0
IPADDR=203.0.113.2

 

また、DNSサーバの/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0を以下のように編集します。


DEVICE=eth0
BOOTPROTO=static
ONBOOT=yes
TYPE="Ethernet"
NETMASK=255.255.255.0
IPADDR=203.0.113.3

 

●デフォルトゲートウェイ

 

Webサーバ、DNSサーバそれぞれの/etc/sysconfig/networkを以下のように編集します。ゲートウェイはCentOSルータのeth1のIPアドレスとなります。


NETWORKING=yes
NETWORKING_IPV6=yes
HOSTNAME=routertest
GATEWAY=203.0.113.1

 

設定後、ネットワークサービスを再起動します。


# service network restart

 

グローバル側のホストにpingを打ち、ルータ外部と疎通が取れることを確認します。


# ping www.sakura.ad.jp
PING www.sakura.ad.jp (210.224.168.100) 56(84) bytes of data.
64 bytes from www.sakura.ad.jp (210.224.168.100): icmp_seq=1 ttl=56 time=27.3 ms
64 bytes from www.sakura.ad.jp (210.224.168.100): icmp_seq=2 ttl=56 time=27.3 ms
...

2. CentOS6.4サーバにIPアドレスブロックすべてのアドレスを割り当てる

スタティックルーティング機能で割り当てたIPアドレスブロックをすべてCentOS6.4に割り当てる例です。ネットワーク図は以下の通りです。

centos-multi_4

この構成で必要なものは複数IPアドレスを割り当てるサーバ1台のみで、スイッチや追加NICは必要ありません。

ネットワーク設定

追加するIPアドレスはループバックインタフェースのエイリアスとして設定します。/etc/sysconfig/network-scripts以下に、追加するIPアドレスの個数分の設定ファイルを作成します。

 

●/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-lo:0


DEVICE=lo:0
ONBOOT=yes
BOOTPROTO=static
IPADDR=203.0.113.0
NETMASK=255.255.255.255

 

●/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-lo:1


DEVICE=lo:1
ONBOOT=yes
BOOTPROTO=static
IPADDR=203.0.113.1
NETMASK=255.255.255.255

 

同様に追加する他のIPアドレスの分、ファイルを作成します。作成後ネットワーク設定を反映し、外部から各IPアドレスに接続できることを確認します。

3. Vyattaでルータを構築する

高機能なソフトウェアルータであるVyattaを使用した場合の設定例です。さくらのクラウドでは最新版のVyatta Core6.5 R1のISOイメージ、アーカイブを用意していますので、お気軽にご利用いただけます。今回は1で例示したCentOSをVyattaに置き換えた構成例とします。ネットワーク図は以下の通りです。

vyatta-router_2

CentOSルータをVyattaに置き換えた以外、必要なスイッチやNIC、サーバの個数は同じです。

Vyattaでのコマンド操作例

Vyattaにログイン後、以下のコマンドを設定します。なお、VyattaではデフォルトでSSHサービスが停止しているため、初回はリモートスクリーン画面より操作を行います。

 

●SSHサービスの開始

 

リモートよりSSH接続をして作業が行えるようにSSHサービスを起動します。


$ configure
# set service ssh
# commit

 

これでVyattaにSSHログインしての作業が行えるようになります。

 

●eth1インタフェース(IPアドレス:203.0.113.1)

 

Vyatta作成時にディスク修正機能を使用している場合はeth0側のネットワーク設定は完了しているので、eth1側にスタティックルーティング用IPアドレスブロックのネットワーク設定を行います。


$ configure
# set interfaces ethernet eth1 address 203.0.113.1/24
# commit

 

これでVyattaがルータとして機能するようになりました。

Webサーバ・DNSサーバのネットワーク設定

こちらは1の設定と同様です。設定後、外部にpingを打ち、応答があることを確認してください。

 

—————

スタティックルーティング機能により、さくらのクラウド上に構築可能なネットワーク構成の幅が大きく広がりました。クラウドへの移行を諦めていた大規模なネットワークを実環境でご利用中のお客様も、ぜひご検討いただければと思います。

本日、さくらのクラウド操作インタフェースとして、新たにCLI環境内でのコマンドライン操作を提供する「sacloud CLI」と、Node.js用モジュールを公開しました。
 
ダウンロードや設定、使用方法など、詳細については以下をご参照ください。
 
node-sacloudのGitHubページ
sacloud CLIの使い方
 
これまでコントロールパネルでのGUI操作と、お客様独自のプログラムに組み込んでの制御が容易なREST APIによる操作インタフェースを提供していましたが、この度、提供中のAPIをNode.jsから簡単に利用できるようにしたnode-moduleと、それを元に開発したsacloud CLIを公開しました。sacloud CLIをご利用いただくことにより、シェルスクリプトへ組み込んでの自動化などがより簡単に実現できるようになります。
 
sacloud CLIは、お客様公開API拡充とともに今後も機能強化を進めていきます。不具合や、操作に関する改善提案などがありましたら、お気軽にお知らせください。

参考: APIキーの作成方法について

sacloud CLIでは、設定方法の確認ページに記載のとおり最初にAPIトークンを設定する必要があります。APIトークンは以下のコントロールパネル操作で取得することができます。

1. APIキー追加画面を表示

コントロールパネルにログインし、画面上部のメニューより「設定」ボタンをクリックします。クリック後の画面では、左側に表示される「APIキー」のリンクをクリックします。

2. APIキー追加と内容の確認

右上の「追加」ボタンをクリックするとダイアログボックスが表示されるので、「名前」と「説明」(省略可)フィールドに入力後、「追加」ボタンをクリックします。

作成に成功すると、リストに今回作成したAPIキーの行が表示されるので、これをダブルクリックし詳細情報を表示します。こちらに表示された「ACCESS TOKEN」、「ACCESS TOKEN SECRET」の文字列をsacloud CLIに設定します。

 

さくらのクラウド コントロールパネルにおいて以下の機能追加を行いましたのでお知らせいたします。

1. ディスク修正機能 ネットワーク情報編集


 
さくらのクラウドでは、パブリックアーカイブをソースとしたディスクを作成する際や作成済みのディスクに対して、コントロールパネルからディスク内のOS設定ファイルの修正が行える「ディスク修正機能」を提供しております。お客様よりサーバ立ち上げ後に設定変更が必要な項目が少なくなり手間なくサーバの立ち上げができるとご好評いただいておりますが、このたび修正可能な項目にネットワーク情報を追加し、機能を強化いたしました。
 
これまでの

  1. ホスト名
  2. rootパスワード
  3. SSH公開鍵

に加え、今回新たに

  1. IPアドレス
  2. ネットマスク
  3. ゲートウェイ

の設定が可能となっております。サーバの立ち上げがより簡単に、より素早く行えるようになった新ディスク修正機能をどうぞご利用ください。
 
※IPアドレス、ネットマスクの設定対象ははOSで認識される1個目のNICのみとなります
※OSによりディスク修正機能に対応していない場合があります

2. リモートスクリーン(HTML5モード) ペースト機能追加


 
コントロールパネル上でサーバのコンソール画面を操作するリモートスクリーン機能のHTML5モードで、スクリーン内へ文字列のペーストが可能になりました。ペースト可能な文字列は、任意の文字列に加え、

  1. コンソール表示先サーバに割り当てのIPアドレス
  2. コンソール表示先サーバ接続ネットワークのデフォルトゲートウェイ
  3. コンソール表示先サーバ起動ゾーン推奨DNSサーバ

がメニューよりクリックひとつで入力が可能となっております。
 
 
さくらのクラウド コントロールパネルでは、これからも随時機能追加を予定しております。より便利に、より使いやすく進化するさくらのクラウド コントロールパネルにご期待ください。
 

3月よりベータ版としてユーザの皆様に公開させていただきました「ロードバランサ」機能ですが、このたび4月1日より正式版としてサービス提供を開始させていただくこととなりました。
 
ベータ版の操作については3月12日に初版公開しました記事にてお知らせしましたが、正式版ではお客様よりフィードバックいただいた不具合修正や機能追加を行っています。本記事ではその仕様を反映して追記・変更を行い、改めて操作手順をお知らせします。
 
なお、後日オンラインマニュアルにもロードバランサの操作マニュアルとして追加を予定しています。

——————————————————————————

1. 概要

「ロードバランサ」機能は、さくらのクラウド環境内において仮想的なアプライアンス機器として動作するロードバランサを提供するサービスです。そのため、コントロールパネルからの操作で、クラウド環境内に構築済みのお客様環境へ素早く容易にロードバランシング環境を導入することが可能となります。
 
提供するロードバランサの価格は下記の通りです。
 

月額料金 日割料金
ロードバランサ(冗長なし) 2,500円 126円
ロードバランサ(冗長あり) 5,000円 252円

 

また、主な仕様は次の通りです。
 

構成 DSR(Direct Server Return)方式(*1)
ロードバランサの冗長化 VRRPを用いた冗長化に対応
仮想IPアドレス(VIP)、ポート番号 最大4個まで
実サーバ数 1VIPにつき10個まで
性能目安 100Mbps、4000セッション、100cps程度

 
(*1) 「ルータ+スイッチ」または「スイッチ」を使用して構築されたネットワーク内にのみ設置ができます(共用セグメントへの設置はできません)。

2. 構成例

今回は構成例として、

  1. ルータ+スイッチを組み合わせたWebサーバの負荷分散
  2. スイッチを組み合わせたデータベースサーバの負荷分散

を挙げてみます。実サーバへの設定方法は次の項目で解説します。

例1: Webサーバの負荷分散

ルータ+スイッチ機能で割り当てられたお客様独自のIPアドレス帯域に接続されている複数のWebサーバを、冗長構成のロードバランサで負荷分散する場合の例です。

想定するネットワークの情報は次のとおりです。(以下の各IPアドレスは弊社テスト環境の帯域を使用しています。お客様環境のIPアドレスに読み替えてください。)

IPアドレス帯域 133.242.38.160/28
ゲートウェイ 133.242.38.161
冗長構成ロードバランサ1(※1) 133.242.38.164
冗長構成ロードバランサ2(※2) 133.242.38.165
Webサーバ1 133.242.38.166
Webサーバ2 133.242.38.167
ロードバランサ仮想IPアドレス 133.242.38.168

※1: コントロールパネルのロードバランサ情報画面では「IPv4アドレス #1」と表記
※2: コントロールパネルのロードバランサ情報画面では「IPv4アドレス #2」と表記

例2: データベースの負荷分散

スイッチ機能でプライベートネットワーク環境を作成し、ロードバランサでWebサーバのバックエンドとなるデータベースサーバの負荷分散する場合の例です。

IPアドレス帯域 192.168.1.0/24
Webサーバ(プライベートネットワーク側) 192.168.1.1
ロードバランサ 192.168.1.2
DBサーバ1 192.168.1.3
DBサーバ2 192.168.1.4
ロードバランサ仮想IPアドレス 192.168.1.10

3. 導入設定

この項目では、先に上げた構成例1のネットワーク構成を例として設定を進めます。

ルータ+スイッチまたはスイッチの作成

さくらのクラウド環境内へロードバランサを導入する場合、必ず「ルータ+スイッチ」または「スイッチ」で構成されたネットワークが必要となります。これらの機能についての詳しい情報はオンラインマニュアルを参照してください。

実サーバのネットワーク設定

DSR構成でのロードバランシング動作が行われるように、実サーバ側でのネットワーク設定が必要となります。設定手順や設定項目については、一般的なDSR構成ロードバランサ導入時と同様です。今回は例としてCentOS6.3での設定を行います。これらの設定を実サーバすべてに適用します。

sysctl.confの設定追加

ループバックアドレスに設定した仮想IPアドレスでARPリクエストに応答しないよう、カーネルパラメータを設定します。

# vi /etc/sysctl.conf

以下の設定を追記してください。

net.ipv4.conf.all.arp_ignore = 1
net.ipv4.conf.all.arp_announce = 2

sysctl.confの設定内容を反映します。

# sysctl -p

ループバックアドレスの追加

新たにlo:0デバイスを作成し、仮想IPアドレス(今回の構成例では133.242.38.163)を設定します。

# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-lo:0

以下の内容を記載してください。

DEVICE=lo:0
IPADDR=133.242.38.168
NETMASK=255.255.255.255

ファイル作成後、ネットワーク設定を反映します。

# ifup lo:0

4. コントロールパネルの操作方法

では実際に、構成例1のネットワーク構成でロードバランサを導入するためのコントロールパネル操作手順を説明します。

現在のネットワークの確認

現在のネットワーク構成を確認します。コントロールパネル上部のメニュー「ネットワーク」をクリックすると作成済みのスイッチ一覧が表示されるので、ロードバランサを追加したいスイッチ名をダブルクリックします。構成例1のロードバランサ追加前の状態(Webサーバが2台スイッチに接続されている状態)である事が確認できます。

また、「マップ」タブをクリックし、スイッチとサーバの接続マップを確認することもできます。

ロードバランサの追加

それではこのスイッチの配下にロードバランサを追加します。画面上部のメニューより「アプライアンス」をクリックするとロードバランサ一覧画面が表示されるので、この画面右上の「追加」ボタンをクリックして作成を開始します。

作成画面では、構成例1の通り以下の内容を入力・選択します。

  1. 接続先スイッチ: ロードバランサを接続したいスイッチ
  2. 冗長化: はい
  3. VRID: 1 (ネットワーク内に設置するロードバランサは1台のみのためデフォルトのまま)
  4. IPv4アドレス #1: 133.242.38.164
  5. IPv4アドレス #2: 133.242.38.165
  6. ネットマスク: 28
  7. ゲートウェイ: 133.242.38.161

各情報の入力後、右上の「作成」ボタンをクリックし、ロードバランサの作成を開始します(使用可能になるまで数分程度の時間がかかります)。作成後は、ロードバランサ一覧画面で該当のロードバランサをダブルクリックし、作成時に入力した内容に問題のない事を確認してください。

ロードバランサの仮想IPアドレス設定

ロードバランサに仮想IPアドレスを設定します。ロードバランサ一覧画面で該当のロードバランサをダブルクリックし、「VIP設定」のタブをクリックします。

右下の「追加」ボタンをクリックすると仮想IPアドレス追加画面が表示されるので、各項目を入力します。

  1. VIPアドレス: 仮想IPアドレス
  2. ポート番号: 80
  3. チェック間隔(秒): 10(後述する実サーバのサービス稼動状態の監視間隔となります)

入力後、「作成」ボタンをクリックすると仮想IPアドレスが設定されます。スイッチ詳細画面では、作成した仮想IPアドレスのタブが新たに表示されます。

仮想IPアドレスへの実サーバ登録

これまで設定した仮想IPアドレスにロードバランシング対象となる実サーバを登録します。前項で確認した仮想IPアドレスの画面右下の「追加」ボタンをクリックし、実サーバ追加画面を表示します。

  1. IPアドレス: 133.242.38.166 (Webサーバ#1のIPアドレス)
  2. ポート番号: 80
  3. 監視方法: http
  4. パス: /index.html
  5. レスポンスコード: 200

監視方法は他にping、tcpが選択できますが、httpを選択することで指定したパス・レスポンスコードによる死活監視が行えるため、Webサーバの冗長化をする場合により確実な監視となります。構成例1では他に133.242.38.167の実サーバがあるので、こちらも同様に登録します。全ての実サーバ登録後のリストは以下のようになります。

設定内容の反映

これまで行ってきた設定はロードバランサ側に即時反映されない仕様となっています。設定の追加や変更を行った後は、必ず「反映」ボタンをクリックしてください。「反映」ボタン押下後はすぐに設定が有効となります。

ロードバランサの動作状況の確認

ロードバランサの動作開始後は、コントロールパネルより動作状況の確認が可能です。

実サーバの動作状況

仮想IPアドレスとして設定したIPアドレス名のタブより、その配下で動作する実サーバの動作状況を確認できます。

  1. ステータス: 指定した監視方法により、実サーバでのレスポンスが正常であれば「UP」、異常があれば「DOWN」が表示されます
  2. コネクション数: ロードバランサーがハンドリングしているEstablish状態のtcpコネクション数の現在値が表示されます

アクティビティモニタ

ロードバランサのトラフィックグラフが表示されます。特定の時間を拡大するなど、操作は通常のサーバのアクティビティモニタと同様に行えます。

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「ロードバランサ」サービスの簡単な使用方法については以上となります。この度正式版として公開させて頂きましたが、これからもお客様のフィードバックにより随時改良を加えていく予定です。ぜひとも「ロードバランサ」をご活用ください。
 
 

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